
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
五分ほどの後、二人が戻ってきた。
俺は、穴が開くほどじっと二人をみつめた。
席に着こうとしてる、ショウもジュンも、怒ってるようにはみえない。
柔らかい表情からは……あきれてるようにもみえない。
……なにを相談してきたの……?
どんな答えをきかされるのか、ドキドキしていたら、二人は視線をかわしたあと、俺に頷いた。
「……姫。我々も参ります」
「私たちがあなたを警護します」
決意表明にも似たその言葉。
「…………えっ?!」
一瞬頭が真っ白になり。
数拍おいてその言葉を理解した俺は、あわてて立ち上がった。
ガチャンと派手な音をたててひっくり返った紅茶が、テーブルにこぼれ出す。
目をやれば、繊細なつくりのお気に入りのカップの縁が欠け、広いテーブル上に、またたくまに琥珀色の水溜まりが広がろうとしてた。
「わ……」
どうしよう、と周りを見渡しても、人払いをしてるせいで、召し使いは誰もいない。
すると、ジュンがさっとやってきて、テーブルの上を拭き始めた。
「あ……すみません」
「いえ。お怪我は」
「大丈夫……」
答えながら、俺は頭を必死で整理した。
……いや、ついてくるって?!俺に?
……ダメだろ!
今にも断りそうな俺の気配を感じたのか、二人は、もう決めたから、と言い、力強い瞳でにっこりと微笑んだ。
ショウが続ける。
「私とジュン、二人のプライベートな旅行ということにしたらよいのです。幸い私には妹がおりますので、サトコさまには、私の妹のフリをしていただけたら」
「でも……っ」
そんなこと……俺の都合に、一国の王子をつきあわせるようなこと……!
「そんな話を聞かされたら、私たちは心配で夜も眠れませんよ。ご一緒させていただく方が、安心だし、むしろ力になれるのが嬉しい 」
ジュンが肩をすくめた。
「ね」
ねって……
「その方がいろんな面で、姫にとって便利でしょう。ご家族に黙って行かれるなら、大の国としての王族の身分は隠さねばならない。ならば、なおさら我々を使ってください」
…………。
降ってわいたような話に、俺は呆然と佇んだ。
