
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
そりゃさ……一人で行くより心強いよ。
でも、俺は恋人に会いにいくんだぞ?
お前ら、恋敵のために、俺に手を貸すの?
俺の複雑な表情から察したのか、いいんですよ、と、ショウが微笑んで俺の手をとった。
大きくて温かい手。
「我々は、サトコさまに恋してるから協力したいだけです」
そうです、と頷いて、もう片方の手は、潤にとられる。
こいつ綺麗な指してるんだな……と思った。
「ここらでポイントあげさせてくださいね」
ぱちっとウインクをして、微笑む様が、憎いほどキマッてる。
俺はミヤのものなのに。
その表情にちょっとドキリとした。
「あの……」
でも……いいの?
こんなこと。ばれたら許されるわけない。
……なにかあったら国際問題もの。
それぞれの国の王族の娘や息子が勝手に一緒に旅行なんて……普通はあり得ない。
黙ってつったったままの俺に、王子たちは、
「善は急げです。このあと俺たちが帰る便で、出発しましょう」
と、提案してきた。
だけど……もうこれしかないんだ。
俺は唇を引き結び、深々と礼をした。
泣くのは違うと思ったから、頑張って我慢した。
「ありがとう……ございます」
ぎゅっと二人の手を握った。
顔をあげたら、ショウがふふっと笑った。
「………不謹慎ですが、嬉しいな。……一緒に旅行するみたいですよね」
「いや、それにはお前が邪魔だなぁ」
「うるさいな、お前こそ邪魔だよ。俺とサトコさまだけでいいんだぞ?」
「ばーか、二人きりなんてそんなこと絶対させねぇし」
俺がミヤを好きだという大前提があるのにもかかわらず、俺を好きだから、と協力してくれる王子たち。
ありがとう。
ごめんな。
「じゃあ……俺……私、準備してきます」
数日の着替えと、資金を用意しに、俺は自室に戻った。
黙って留守にするわけだから、置き手紙くらいはしていこう。
ジュンイチにだけは伝えておこうかな。
机にむかいながら、頭を占めるのはミヤ一人。
ミヤ、何してる?
どうしてる?
俺、待ちくたびれたから迎えに行くね?
三人でミヤのもとへ。
タエとミヤがいる…………ニノ国へ。
