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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟




……どういうこと……?


実は知り合いらしい二人を前にして、俺は戸惑いを隠せなかった。

母さんは口に手を当てて、目を見開いてて……それがみるみる潤んでゆく。
微かに震えてるのは……気のせいじゃないよね。

驚愕と嬉しさをそこから感じとり、ますます俺はわからなくなった。


母さん……?


すると、タクヤとよばれた男性は、突如、母さんにガバッと頭を下げた。

なんなら土下座でもしそうな勢いだ。

男性は、身を切られるような苦しそうな声で、許しを請うた。



「すまなかった……タエ!辛い思いをさせて……!」

「やめて……!そんなことなさらないで。顔をあげてください……っ」


母さんが、悲鳴のような泣き声で、男性に駆け寄って、その頭をあげさせるように肩に手をおいた。

男性は、母さんの手にそっと自分の手を重ねた。
小刻みに震えるその体を母さんが支えてる。

それらは、ただの知り合いとは、違う関係性を嫌でも想像させた。

これは……もしかして。




「ずっと……ずっと後悔していた。おまえを守りきれなくて……すまない」

「いいえ……タクヤさまはずっと私たちを気にかけてくださいました。裏で、援助してくださっていたのも知っています」


ありがとうございました……、と母さんは泣きながら頭をさげてる。


……俺は、黙って成り行きをみつめてた。


これは普通じゃないぞ……。


男性は、母さんの手を握り、顔をあげて真っ直ぐに母さんの目をみた。


「おまえが忘れられなくて。私は生涯一人を貫こうとしてた」


信じてほしい……と、絞り出すような声で、男性は目を伏せた。


そして、


「タエ……今度こそ離さない。私と共に来てくれ」


聞こえてきた言葉に、耳を疑った。


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