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キラキラ

第5章 hungry

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それから、俺は、三年生の団体をみかけると、つい大野さんを探すようになった。

だって、あの人、目が合うとすげー綺麗に笑うんだ。

その顔が見たくて、クラブハウスに向かうときに三年生の校舎を横切るのが、ひそかな楽しみになった。

目論見どおり、出会えたときなんか、無意識にテンションあがるんだろうな。
練習中のパス回しなんか、キレキレになるみたいで、雅紀が喜んでる。



「櫻井先輩、恋してます?」

いつものように、練習後、パンを食いながら、部室であーだこーだと、しゃべっているときに、突然、二宮が発した言葉で、俺は、飲みかけてた炭酸が別のとこに入り、盛大にむせた。

「ゴホッ…ゴホッ」

「なに?翔ちゃん図星なの?」

雅紀が心配そうに、探ってきた。

勉学と運動に恋愛はいらない、という学校の気風に誰よりもそまってるのは、雅紀。
バスケ部には、恋愛禁止という、暗黙の決まりごともあるくらいだ。

オンナができたら、弱くなる、そうで。

昭和みたいだ、と感じてるのは多分俺だけじゃないはずだけど、特に彼女が欲しいわけじゃないから、黙ってる。

のだが。

「してねーよ。誰とすんだよっ」

思わず、大きな声がでてしまう。
おかしなことを言い出した、と一蹴したいとこだが、どこかで、どぎまぎしてる自分がいる。

「いえ、だって、なんか最近すごく楽しそうですもん」

「………楽しそうで悪いかよ」

俺の低い声に、まったく動じない二宮は、ケロリとして、いいえ、と笑う。

「俺の勘です。間違えてるなら、すみません」

「失言だぞ。二宮」

雅紀が、ちょっと怖い顔をした。
二宮は、はーいといって舌をぺろっと出した。

いちいち、可愛いやつだ……ってのは、おいといて。

俺は、自分でも分かるくらい動揺してた。

瞬時に、ある人が頭に浮かび、即座にそれを否定した。
否定したつもりなのに、今度は、きゅっと胸が苦しくなった。

……そんなはずない。

……憧れてるだけだ。


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