キラキラ
第5章 hungry
***** ***** *****
それから、俺は、三年生の団体をみかけると、つい大野さんを探すようになった。
だって、あの人、目が合うとすげー綺麗に笑うんだ。
その顔が見たくて、クラブハウスに向かうときに三年生の校舎を横切るのが、ひそかな楽しみになった。
目論見どおり、出会えたときなんか、無意識にテンションあがるんだろうな。
練習中のパス回しなんか、キレキレになるみたいで、雅紀が喜んでる。
「櫻井先輩、恋してます?」
いつものように、練習後、パンを食いながら、部室であーだこーだと、しゃべっているときに、突然、二宮が発した言葉で、俺は、飲みかけてた炭酸が別のとこに入り、盛大にむせた。
「ゴホッ…ゴホッ」
「なに?翔ちゃん図星なの?」
雅紀が心配そうに、探ってきた。
勉学と運動に恋愛はいらない、という学校の気風に誰よりもそまってるのは、雅紀。
バスケ部には、恋愛禁止という、暗黙の決まりごともあるくらいだ。
オンナができたら、弱くなる、そうで。
昭和みたいだ、と感じてるのは多分俺だけじゃないはずだけど、特に彼女が欲しいわけじゃないから、黙ってる。
のだが。
「してねーよ。誰とすんだよっ」
思わず、大きな声がでてしまう。
おかしなことを言い出した、と一蹴したいとこだが、どこかで、どぎまぎしてる自分がいる。
「いえ、だって、なんか最近すごく楽しそうですもん」
「………楽しそうで悪いかよ」
俺の低い声に、まったく動じない二宮は、ケロリとして、いいえ、と笑う。
「俺の勘です。間違えてるなら、すみません」
「失言だぞ。二宮」
雅紀が、ちょっと怖い顔をした。
二宮は、はーいといって舌をぺろっと出した。
いちいち、可愛いやつだ……ってのは、おいといて。
俺は、自分でも分かるくらい動揺してた。
瞬時に、ある人が頭に浮かび、即座にそれを否定した。
否定したつもりなのに、今度は、きゅっと胸が苦しくなった。
……そんなはずない。
……憧れてるだけだ。
それから、俺は、三年生の団体をみかけると、つい大野さんを探すようになった。
だって、あの人、目が合うとすげー綺麗に笑うんだ。
その顔が見たくて、クラブハウスに向かうときに三年生の校舎を横切るのが、ひそかな楽しみになった。
目論見どおり、出会えたときなんか、無意識にテンションあがるんだろうな。
練習中のパス回しなんか、キレキレになるみたいで、雅紀が喜んでる。
「櫻井先輩、恋してます?」
いつものように、練習後、パンを食いながら、部室であーだこーだと、しゃべっているときに、突然、二宮が発した言葉で、俺は、飲みかけてた炭酸が別のとこに入り、盛大にむせた。
「ゴホッ…ゴホッ」
「なに?翔ちゃん図星なの?」
雅紀が心配そうに、探ってきた。
勉学と運動に恋愛はいらない、という学校の気風に誰よりもそまってるのは、雅紀。
バスケ部には、恋愛禁止という、暗黙の決まりごともあるくらいだ。
オンナができたら、弱くなる、そうで。
昭和みたいだ、と感じてるのは多分俺だけじゃないはずだけど、特に彼女が欲しいわけじゃないから、黙ってる。
のだが。
「してねーよ。誰とすんだよっ」
思わず、大きな声がでてしまう。
おかしなことを言い出した、と一蹴したいとこだが、どこかで、どぎまぎしてる自分がいる。
「いえ、だって、なんか最近すごく楽しそうですもん」
「………楽しそうで悪いかよ」
俺の低い声に、まったく動じない二宮は、ケロリとして、いいえ、と笑う。
「俺の勘です。間違えてるなら、すみません」
「失言だぞ。二宮」
雅紀が、ちょっと怖い顔をした。
二宮は、はーいといって舌をぺろっと出した。
いちいち、可愛いやつだ……ってのは、おいといて。
俺は、自分でも分かるくらい動揺してた。
瞬時に、ある人が頭に浮かび、即座にそれを否定した。
否定したつもりなのに、今度は、きゅっと胸が苦しくなった。
……そんなはずない。
……憧れてるだけだ。