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キラキラ

第1章 アーモンド


手早く、シャツのボタンを三つめまではずした。
ちょっと迷って、ベルトにも手をかけて、ジーパンのボタンもはずす。

「…………ぁ、ごめん……」
「いいよ、しゃべんなくて」

手の甲を額にあて、ギュっと目をつぶって必死に目眩に耐えてる翔くん。
はあ……と、ため息をついてて、辛そうだ。

心配だけど、心配だけど……不覚にもドキドキしてしまう。

眉間のシワが色っぽくて、半開きの唇が誘ってるみたいで。

(……なに、考えてんだ、俺!)

「……気分…悪……」

小さく紡がれた声に我にかえった。
あわてて、翔くんの顔をのぞきこんだ。

「なに?吐きそう?洗面台行く?」

「……いや…水、くんね……?」
「ん。分かった」

テーブルにおきっぱなしの封があいてないミネラルウォーターを手にとる。

肩に手をさしこみ、少し体をおこしてやる。

「飲める?」

ペットボトルを唇にあててあげると、虚ろな目の翔くんが、少しだけ口をあけた。
うまく、飲み込めないみたいで、ゴホッゴホッと
むせて、あわてて、背中をさすってやる。

「落ち着いて……」

俺は、迷わず自分の口に水を含み、翔くんに口づけた。
少しずつ、流し込んで、喉が動いたのを確認して、唇をはなす。

「飲めた?」

「……もう…少し……」

「…うん」

翔くんが、呟いた言葉に頷いて、もう一度水を含んで口づけた。




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