キラキラ
第1章 アーモンド
「……ぅん……」
再度ゆっくりと水を流し込む。
こくっと、飲み込んでから、翔くんは、苦しそうに顔を背けた。
「も、いい?」
「…………ん」
そっと頭の位置をもとに戻した。
翔くんは、はあ……と、大きな息をついて、弱々しい笑みを浮かべた。
「……、潤……」
「いいよ。気分よくなるまで寝てろよ。みんなそろうまで、まだ時間あるだろ」
「……ん」
なに、無茶してんだよ……
倒れるまで仕事つめてんじゃねえよ。
言いたいことは山ほどある。
でも。
目を閉じて、休息をとる翔くんを今だけひとりじめできる現実に、不謹慎ながら胸が高鳴った。
ブランケットをとりにいき、静かにかけてやる。
細い神経質そうな指が目に入り、そっとさわってみると、さっきの氷のような冷たさから、体温がもどってる感じだ。
そのまま指をからめて手を握った。
あいてる手で、翔くんの髪をゆっくりと触った。
蒼白だった顔色も、少しましになってきてる。
「翔くん……」
好きだよ……
指に口づけて、目を閉じた。
次に起きたときは、いつもの翔くんに戻っていますように。