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キラキラ

第5章 hungry


雅紀も床に大の字になってる。

大野さんに、かなりゆさぶられてて、めちゃくちゃ走り回らされてたしな。

二宮も横になり、苦しそうに呼吸を整えてた。
レベル的に、おそらく一番しんどかったろうけど、こいつのセンスを再確認できたかも。

俺は、転がったまま、大野さんの笑顔を見上げた。

「………完敗です。ってか、大野さんバスケしてたんですか?」

「あれ。言わなかったっけ?」

「櫻井、大野は、実はスゲーんだぞ」

井ノ原先輩が、横から、関西地区にある全国レベルの常勝校の名前をあげた。

「………え?!」

「この学校来る前は、そこのスタメンだったってよ」
 
「えっ?? マジですか?!」

「ほらあ………だから、大野さんはマジもんだって言ったじゃないですか……」

二宮が、もうクッタクタです………と言ってノロノロと起き上がった。

「もー………、相葉先輩、話が違いますよ………こんなん、遊びじゃないですって」

「俺も、予想外だったんだよ………」

雅紀も、起き上がり、髪をがしがしかいた。

「ま、でもあれだね。翔ちゃんの欲求不満は、解消されてるはずだよね」

雅紀が、にこにこと、こちらを振り返るから、俺も起き上がり、指をたてて、大きく頷いてやった。

「………うん。すっげ楽しかった」

「おーい、お前ら!何時だと思ってんだ。そろそろ帰れよ!!」

同時に、体育館の入り口から、松岡の怒鳴り声。

俺たちは、はい!と返事をして、後片付けにとりかかった。

***** ***** *****

すっかり日の暮れた夜道を、六人で歩く。

先頭に井ノ原先輩と岡田先輩。その後ろを雅紀と二宮。のんびり歩く大野さんにあわせて、俺は、大野さんと一番後ろを歩く。

「今日はありがとうございました。めっちゃくちゃ楽しかったです」

改めてお礼をいうと、俺より少し目線が下にある位置にある大野さんの顔が、くりんとこちらを向いた。

「………ううん。こちらこそ、久しぶりで楽しかった。櫻井は、本当に楽しそうにプレーするね。本当バスケ好きなんだな」

言われて、ふふっと笑いがもれる。
どちらかと言えば、今日はこのメンバーでする3On3が楽しかったんだけど。

「はい。………好きです」

「大事だよ、それ」

大野さんは、柔らかい表情で俺を見上げた。


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