
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
「え……俺が?」
「はい」
「男に戻りたいかって?」
「……はい」
サトは、びっくりしたように目を見開いたあと、俺の真意を探るようにじっと見据えた。
「なんでいきなりそんなこと聞くの?」
「……俺との結婚とはまた別の話です。あなた自身が男性なのに、女性として生きてるのをどう思ってるのか……不自由はないのか。一度聞いてみたかった」
もしもサトの真意が、実は男に戻りたいなら……結婚ではなく、友人としての生き方もある。
クリアすべきさまざまな問題はあるけれど。
じっと黙ってると、俺が真剣に聞いてるのが伝わったようで、サトも真剣な眼差しになった。
やがて、その花びらのような唇から紡がれた言葉は。
「俺は……正直考えたこともない」
今までの生き方になんの迷いもなかった、と断言する言葉であった。
「生まれたときから女として育てられてるんだ。今さらだよ。そりゃ、体のつくりが全然違うのは百も承知だけど、それで不自由だと思ったことはないよ」
「サト……」
「それに。生涯お前のそばにいれる条件が姫の立場なら、俺は喜んで姫を全うする」
「……」
「世継ぎは……産めないけど」
小さく呟いた言葉に、俺は首を振り、サトの手を握った。
「世継ぎなんて、外から迎え入れるなど、どうにでもなります」
「ふふ……そうかな?」
「そうです」
俺のきっぱりした言葉に、ふわりと笑ったサトは、そんじょそこらの女より綺麗だった。
俺も母さんも、サトの側近からいなくなる。
サトが男だと知るのは、ヨシノさまだけになる。
少しでも無理を感じているならば、と懸念していたが、安心だ……と思った。
