
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
今がきっと俺の人生の踏ん張りどころなんだと思う。
ただの付き人の俺が……影でしかサトとの関係を紡げなかった俺が、表舞台に立つということは、ジュン王子やショウ王子と、肩を並べることができるということに他ならない。
サトにがっかりされないように……これから二ノ国の王族にふさわしい人間になるために、きちんと勉強していきたい。
多くの人と出会い、信頼を得て、俺の周りの地固めがすんだら、胸を張ってあなたを迎えにゆこう。
その時は、両手にあまるくらいの、大きな薔薇の花束を持っていこう。
……どんな顔をするかな。
なんだか、想像するだけで楽しくなってくる。
「カズナリさま……ごほっ……すみません、もう大丈夫です」
ぜいぜい言っている呼吸を整えたショウリが、申し訳なさそうに体を起こした。
「みてみろ。俺のいうこときちんと聞いとけば、そんなことにならないんだ」
「……はぁ」
しょんぼりするショウリに、くすりと笑って、俺はティーポットを手にした。
「俺も二杯目が飲みたいし。その皿の上のスコーン食べとけよ」
「……ありがとうございます」
お世話をする側に慣れきってる身としては、じっとしてるのは、なかなか性にあわなくて。
俺は気分転換も兼ねて、改めて立ち上がった。
お湯を注いで、ふわりと立ち上る芳香を吸い込む。
カチャカチャと手を動かしながら、最愛の人の笑顔を想う。
……サト。
一緒になれたら……美味しい紅茶を、また共に飲もう。
薔薇が咲き誇る庭を散歩して、飽きるほどキスをしよう。
夜は……しばらくは寝かせることはできないかもな。
……ちょっとだけ。
寂しいだろうけれど、ちょっとだけ待っててください。
迎えに行くその日まで、どうかその幸せな笑顔のままでいて。
愛してる……誰よりも愛してます。
fin.
