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キラキラ

第34章 バースト9


ふわふわと夢の中を揺蕩っていると、コーヒーのいい香りがした気がして、意識が戻る。
ぼんやりと目を開けた。


大野家のリビングにいる……のはすぐに認識できたけど……あ、俺、ソファーに寝てるのか。
あのまま……寝ちゃったのかな。


「オーレできたよ」


遠くで翔の声。

ああ……翔だ、と思った瞬間。



「ありがと」



え?!


続くかずの声に、


俺っ……半分裸じゃなかった??!


一瞬で我にかえり、飛び起きた。


「いっ……」


とたん、ズキンと体を貫く痛み。
さっき翔を受け入れた場所や、無理な体勢をとった腰が悲鳴をあげる。

思わずうずくまると、俺の背中に温かな手のひらがのった。


「どうしたの……具合悪いの?」


そのまま、労るようにゆっくり擦られて、顔をあげると、かずが心配そうな顔で俺の横に膝まづいていた。
感覚的に、とりあえず服はちゃんと整っていることが分かり、安堵する。


「潤くん、疲れていたのか、映画を観ながら寝ちゃったって翔さんが……」


「えっと……その」


疲れていたって……そんな嘘バレバレじゃねーの??

真っ赤になった俺の顔を見て、一瞬でかずは真実を察したらしい。


「……そりゃ、寝ちゃうよね」


含み笑いながら、俺の背中を優しくポンポンと叩いて、もう少し横になってなよ、と、気づかってくれた。

俺は恥ずかしいやら、痛いやらで、固まったまま動けなくて。
この怠さは多分チカラを使いかけたのもあるし。

ごめん、と、いいたげな、いたずらっ子のような瞳で、オーレの入ったマグカップを運んできた翔を、俺はじろっと睨んだ。

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