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キラキラ

第34章 バースト9


またそれ?

俺は軽くため息をつく。


「そんなんされるわけないって言ってるじゃん」

「……現に今日声かけられてたじゃねぇか」

「でも……あんなのナンパじゃないでしょ」

「俺からしたらそうなんだよ!」



翔がむすっとした顔で反論してくるから、いつもなら笑える翔のヤキモチにも、ちょっぴり腹がたってきた。

だってさ。
声かけられるのだって、実際、俺のせいじゃないし。
しかも俺、相手にほいほいついていかないよ?
学祭すら来ちゃダメってひどくない?
それとこれとは別だろ?

信じてくれてないみたいで、なんか理不尽。
なんか……悲しい。


俺の表情が翳ったのに気がついた翔は、苦笑いして、


「………そんな顔すんなよ」


と、また、ぎゅうっと抱き込んできた。

おとなしく温かな胸に顔をうずめる。
翔の香りを吸い込んで、心を落ち着かせようと深呼吸を繰り返した。

そのままゆっくり俺の背中を擦っていた翔は、ふう、とため息をついて、ぽつんと言った。


「……そんなに来たい?」

「そりゃあ……」


翔の大学生としての顔が見れるし。
なんなら一緒にいろいろ見学できるし。
何回かデートの待ち合わせに行ってるから、知らない場所でもないし。

なにより……一緒にいたい。


「……じゃあ、かずと相葉くんを誘えよ。俺と合流するまで、二人と一緒にいるんだったら……いいぞ」


それが条件だ、と翔はいう。

あいつらの予定も無視して、ちょっと無茶苦茶だなとは思ったけど。


「わかった」


俺は、嬉しくて。
うんうんと頷いた。


翔は、困ったようなあきらめたような顔で、俺にちゅっと一つキスをした。

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