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キラキラ

第34章 バースト9


忘れてた……文化祭か。
俺の学校もそりゃあるわな。

日にちが、翔の大学の学祭とかぶってなかったらいいけれど。

もやもやと思いながら、ふと気づく。

……翔にうちの文化祭に来てもらっても、楽しいかもな。

規模もクオリティーも、大学と雲泥の差だろうけど、模擬店もちょっと出るし。

……雅紀がいるから、かずも来るだろうし。

そんとき、俺がなんにも参加してないなんて……やる気がないやつだなんて、思われたくないなぁ。

俺は、ちらりと委員長の顔をみた。
大きな優しい目が、俺の反応を待つように、じっと見てる。
なんだか、息をのんで俺の答えを待ってるようなクラスの雰囲気が妙だけど……。


委員長の眉毛が、どうだ?というようにあがった。


この委員長は、生田という。
二年になって、雅紀とクラスが離れた俺は、別に誰ともつるむ気もなかったが、なぜだか、今度はこの世話好きな男につきまとわれた。

こいつは、とりたてて目立とうとしてないのに、不思議と輪の中心になってゆくような男で、担任に任命されて委員長までやっている。

真面目一辺倒というわけではない。
適度にイタズラが好きで、適度にサボる。

上手に自分をアピールするが、またその緩さ加減が、おしつけがましくもない。

こいつを嫌うやつは少ないんじゃないか、というような、場を読むのがうまい男だった。

そして、優等生のようなこいつを、実は俺も嫌いではなかった。
雅紀の次に、一緒にいて楽なやつだから、昼飯や休み時間を共に過ごすことが多かった。


その生田と一緒なら……、まあ、最悪な仕事ならあいつにおしつけたらおしまいだしなぁ。


そんなことをつらつら考えた結果、俺はそれ以上をあまり深く考えないで、


「……よくわかんねーけど、お前が一緒なら」


と、答えた。


すると、わっと教室中が大拍手。

生田は満面の笑みで、「これで俺らのクラスは安泰だな」なんて言ってる。


……?
なんだ……?


俺は、もしかしたらまずいことを引き受けたのかな……?


一抹の不安がよぎった。

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