
キラキラ
第34章 バースト9
そのあと、生田に何度きいても、当日ちょっと手伝うだけだから、と言われ、結局自分が何をさせられるのかよくわからずじまいで。
俺がよく把握してないことをいいことに、箝口令でもひかれているのか、はたまた、口裏をあわせられてるのか。
周りのやつらも、当日だけ動いてくれたらいいとしかいわない。
他校の知り合いが来るんだけど、と言ったが、その時間はあけるから、とまで言われた。
……なんだってんだよ。
ますます嫌な予感しかない。
こんなことなら、頷くんじゃなかったかも。
女子に聞くのも癪だし、なんだかもう追及するのも面倒になり……ならもう、最悪な仕事なら途中から消えようと心に決めた。
なんとかなるだろう、と思っていた。
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「文化祭?うん。相葉くんに聞いてる。再来週でしょ?」
「もちろん来るよな?」
「行くよー」
かずは楽しみだなぁ、と言って、俺のノートをめくった。
今日は、二週間に一度、かずに勉強を見てもらう日だ。
静かな大野家のリビングで、かずとむかいあって座る。
智さんは仕事。翔も大学からまだ帰ってきてない。
苦手科目をみてもらうようになって、ずいぶんとたつが、かずのおかげで、俺は大分成績があがってきた。
ありがたい話だ。
俺は、かずの採点を待つ間、次の課題の教科書を開ける。
シャッシャッと赤ペンを滑らせながら、かずは、面白そうに呟いた。
「……でも翔さんとこの学祭と、かぶらなくて、ほんと良かったね」
「……まあね」
俺は、うん、と頷いた。
