テキストサイズ

キラキラ

第34章 バースト9


翔の学祭は、来週に迫っていた。
俺の学校の文化祭はその次の週。

ふたを開けてみれば、翔の大学と一週間の違いという奇跡に、安堵したものだ。


「二週間続けて、祭りだなんてゼータクだなあ、俺」


にこりと笑って顔をあげるかずに、申し訳なくて苦笑いした。

翔の大学の学祭についてきてほしいとお願いした俺に、かずも雅紀も快くオッケーしてくれたのだ。

もともと、二人も行くつもりにはしてたみたいだけど、途中まで俺が混ざるのは、想定外に違いない。
これは、明らかに二人のデートの邪魔でしかないのに。


「……無理いってごめん」

「ふふ。やきもちやきの旦那さん持つと大変だね」

「……心配なんだって。なんでだろうな」


俺がぽろっともらすと、なんでって……、と、かずは目を丸くした。


「いやいや。だって潤くん前科があるでしょうよ」

「え?」



なにいってんの、とかずがあきれたようにため息をついた。


きょとんとしている俺に、かずは、覚えてないの?とでもいいたげな視線を浴びせてくる。


「風磨さんの学校で、実行委員につかまったのはどこの誰?」(第27章 かげろう参照)

「え……でも、あれはナンパじゃないじゃん」

「似たようなもんでしょ。あのとき、翔さんがめちゃめちゃ怒ってたの忘れたの?」

「ああ……そか」


目立つことするなって怒られたっけ。
でも、あれはステージ出演だろ?


「……同じことだよ。潤くんが大事で大事で周りに見せたくないの。翔さんは」


わからないの?と、かずは笑う。


分かるよ。
わかるけどさ。


「でもさ……それって信じてもらえてないってことかな」

「え?」

「俺が別の人になびいちゃうかもって思ってるってことだよね?」


すると、かずは、ますますあきれたように、深いため息をついた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ