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キラキラ

第6章 いっぱい  ~hungry ~

「おまえ、堂々とここで寝ようとすんなよ」

相葉先輩は、笑いをおさえてひそひそと言いながら、俺の隣の空席の椅子をひいて座った。

聞けば、ちょっと前から俺に気がついて、ひそかに観察していたという。

「めんどうになってきたから、寝るんだなって、手にとるように分かって面白かった」

くくっと笑う笑顔は、優しい目がくしゃりと細められてる。

「はあ………まあ」

恥ずかしい。

ガサガサと プリントやら、辞書やらをまとめてると、

「どこが分からないんだ?」

と、相葉先輩が顔をちかづけてきた。

一年の問題なら教えれるぞ、と得意そうにいうから、本当ですか??と、俺は嬉々としてプリントを差し出した。

「英訳の、これとこれと、それです」

「………全部じゃねえか(笑)」

相葉先輩は、笑って、俺のシャーペンを手にとった。

サラサラと、英単語を書き並べ、ここまで主語なの分かるか?って聞いてきた相葉先輩に、はい、って答えながら全然別のことを考えてた。

意外と綺麗な字を書くんだな、とか、指、なげーな、とか。

………囁き声が甘いな、とか。



………………何、考えてんだ、俺は。




「………おい。聞いてる?」

「………聞いてる」

「聞いてます、だろ、そこは(笑)」

やべ。

えへへっと笑って、聞いてます、聞いてますって、誤魔化すように頷いた。

ったく、しょうがねえなあって、苦笑いながら、相葉先輩は、俺がつまずいた問題全部を、懇切丁寧に教えてくれたあげく、また、今度も教えてくれる約束をしてくれた。

英語は得意なんだそうだ。

「へえ………意外です」

「どーゆー意味だよっ」


そーゆー意味だよ(笑)


相葉先輩をからかうと、ちょっぴり楽しいことを発見した。

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