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キラキラ

第6章 いっぱい  ~hungry ~

得点も、取って取られてのシーソーゲームだ。
ワンサイドじゃないから、ひとまず合格だよな?

俺は、汗にまみれた前髪をかきあげ、みんなを鼓舞する声をあげた。



相葉先輩の目がかわってきたのが分かる。

うおっ………

今の櫻井先輩とのプレーすっげ!はやっ!

思わず、感嘆した呟きがでる。

二年チームは、電光石火の早業で得点を積み上げていく。

こんな目の前で相葉先輩のスーパープレー見れるなんて、贅沢。

でも、やられてばかりじゃねえし!

速攻ですぐさま、取り返した。




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A


なめてかかったら痛い目みるかもな、とあらかじめ予想はしてたけど、予想以上だ。

一年は、たったいまつくった即席チームのはずなのに、二宮が指示をだすたびに、まとまっていってる気がする。

これ、無意識なんだろうな。
二宮を中心に、ボールが動き始めた。

ゲームの主導権も、少しでも気を抜いたら持っていかれる危機感さえ感じる。

きっと翔ちゃんも同じこと考えたんだろう。
目があったから、頷いてみせた。

負けられない。

気を引き締めて集中しなおした。



………ふと。違和感を感じる。

(……二宮?)

さっきまで、こいつにうるさいほどべったりマークされてたのに、容易に、はずせることに気がついた。

バテたのか?

走る後ろ姿。

ジャンプシュート。

………片足でしてる……?

(こいつ、まさか)

自分のもとに走りよってきた二宮に、まさに声をかけようとしたら、キャプテンの笛が鳴った。

「交代!」

スコアボードに目を走らせると、大量の点差で、二年が勝ってる。
でも、終盤のちょっと動きが鈍った二宮のせいともいえる。
で、なかったら、もう少し接戦だったかもしれない。

コートからでる二宮に声をかけようとしたら、

「二宮、ちょっと」

キャプテンに呼ばれて、二宮はそちらに顔をむける。
ちょっと離れたところで、見守ってたら、翔ちゃんが近づいてきた。

「なあ………」

「翔ちゃんも気がついた?」

「あ、やっぱり?」


キャプテンのもとから離れて歩きだした二宮を、今度こそ手招きする。
俺に気がついた二宮は、にやりと口角をあげてこちらに向かってきた。

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