
キラキラ
第35章 屋烏之愛
抱き締められる腕にいっそう力がこもった。
窒息しそうなほどのそれに、俺は松本の肩口に顔を押しあて、クスクス笑う。
「……苦しい……です」
「あ。ごめん」
松本が慌てたように腕を緩めた。
そしてそっと労るように俺の背中を撫でた。
俺は、松本にしがみついたまま、彼の体温が気持ちよくて目を閉じる。
そうしてるうちに、胸のうちからこんこんと溢れる想いが、自然と口をついた。
「……好きです」
「…………」
「…あなたが好きです」
「…………カズ」
「俺は……あなたのものです」
松本は俺を抱き締めたまま、ふうっとため息をついた。
「…………?」
あれ。
喜んでくれると思ってたから、その反応にちょっと不安になり、背中をつかむシャツをくいくいと引っ張ってみた。
「……あの……?」
すると松本は、また俺を抱き締める腕に力を込めなおし、俺の頬に何度もキスをした。
戸惑ってるうちに、後頭部をささえられ、唇を塞がれる。
「……ん…ふぁっ…ん」
それは、これまでされたことのないような、深い深いキスだった。
