
キラキラ
第35章 屋烏之愛
なんでもない顔をして、離れたら大丈夫だ、と思うのに、それでもバレたらどうしようとか考える。
若干、内股で松本にしがみつきながら俺は、ふぅ……、と、小さく深呼吸した。
落ち着け……俺。
触れなきゃわからないはずだ。
考えすぎだ。
悶々と考えてると、
「カズ……?こっち向いて」
「……?」
松本のものすごく心配げな声に、反射的に顔をあげたら、彼はギョッとしたように目を見開いた。
……え?
「カ……ズ……?」
「……はい……?」
俺の顔を凝視して、松本は、まいったな……と、呟いた。
そうして、またふいにきつく抱き寄せられた。
やばっ……!
俺は、あわてて腰をひこうとしたけれど、一瞬早く全身がピタリと密着した。
それはもう、当然、俺の体の変化がばっちり分かるくらいに……
「あ……」
瞬間、気がついた。
俺が気づいたことに、そうだ、とでもいうように、松本は殊更にぎゅっと体を密着させてきた。
これ……もしかして。
俺ばかりだと思っていたのに……松本も同じだったことに気づいてしまう。
……興奮してくれてるんだ。
