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キラキラ

第35章 屋烏之愛


「今からお昼ですか」

「おう」

「あのときの屋上ですか」

「そう」

「じゃあ……ちょっとだけお邪魔してもいいですか?」


大野に言われたとおり櫻井にお礼をいいたいと思った。
一人で屋上に行く勇気はないけど、大野についていくことならできる。


だが、


「……やめとけ。旦那が来たぞ」


と、苦笑まじりにいわれて、大野の視線の先をおうと、パンの袋をぶらさげて、仏頂面でこっちに歩いてくる松本がみえた。


「……潤くん……」


肩をいからせて早歩きでいるのは、ちょっぴり怒ってる証拠。

どうしたんだろう、ときょとんとしてるうちに、松本はツカツカとそばまできて、俺の腕をガシッと掴んだ。


「……行くぞ」

「えっ」

「昼休み終わっちまう」

「え……今始まったとこ……わっ」


言い終わらないうちに抱き寄せられた。


「どうし……」

「例え、恋人のいる男だろうが俺以外の男と二人きりになんなよ」

「……え」


松本の言葉に、俺が戸惑っていると、そのやりとりをみていた大野が、はっと鼻で笑った。


「お前らが仲良しなのはよくわかったわ」

「大野センパ……」

「じゅんくんって呼んでんの?」

「!!」


ぼっと、頬が赤くなる。


しまった!咄嗟に口走っちゃった!

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