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キラキラ

第35章 屋烏之愛


「そ。仲いいから。俺たち」

松本が威嚇するような眼差しで、大野をつきはなした。


「…………」


ぎゅっと腕に力をこめられて、俺は、唖然として松本を見上げた。
……そして、本気の眼に、ちょっとひく。


いや、だってさぁ……心配してくれるのは嬉しいけど、大野は櫻井以外に興味ないだろう。
その証拠に、目の前の大野は、超余裕じゃん。
しかも、楽しそうにニヤニヤ笑ってるじゃん。


「……心配しなくたって、人のものに手を出すほど困ってねぇわ」


あっさりと否定して、大野は肩をすくめてみせた。


ほらね。
そんなこと、わかってることなのに。

俺は、恥ずかしくなりながら、うつむいた。


「そんなのわかんねーだろ」

「あーはいはい。めんどくせぇな……おまえは」


なおもかみついてゆく松本をいなして、大野は、がりがり頭をかいた。



「……まぁ仲良くやんな」


ふんと笑い、踵を返した大野に、


「言われなくたって、そうするさ」


松本が呟く。

ゆるりと歩いて行く大野の背中を見送り、松本はそっと俺の手をひいた。


「行くぞ」

「…………はい」



ちょっと分かってきたことだけど、この人はルックスはいいし、頭もまぁまぁだし、スポーツもできるし喧嘩も強い。

まさしく、非の打ち所のない人だ。

……なのに、こと俺が絡むと、どうしようもなくポンコツになるのはなんでなんだろう。



「愛があふれてるねぇ」


……って。
雰囲気の変わった(らしい)俺たちをみて、相葉は言った。

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