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キラキラ

第36章 バースト10


「潤オッケーだって。たぶん相葉くんも、大丈夫そう」

「そうか。よかった」


智兄は嬉しそうに頷き、立ち上げてたパソコンに向かった。

どうせなら都会から離れようだとか、温泉にも入りたいだとか、二人でウダウダ言いながら、いろんなサイトをめぐる。

……ところが、現実はそんなに甘くなく。

年明けをまたぐ宿泊は、今のこの時期、有名なホテルや旅館は既に軒並み満室。

それでもどこかは空いてるだろう、とずっとパソコンとにらめっこしてた智兄に、コーヒーでもいれようかと立ち上がった。
そのとき、突如、よし、と声をあげた智兄が、マウスをカチカチ動かし始めた。


「あった?」

「おう」

「どこ?」

「……北陸の方だな。蟹食いに行こうか」

「やった」



そう言った智兄は、しばらく画面に何やら入力してたかと思うと、今度はおもむろに、スマホを手に取り、画面を軽くタップした。


「……もしもし。昌宏さん?俺……うん、年末あいてる?」

「……」


俺は少し驚いた。

いや、この面子だと、智兄が寂しいかもな、とはちょっと思ってたけど。

あまり、俺らの前で、松岡さんと二人でいるところを見せないひとだから。

…なんか、恥ずかしいって言ってたもんな…でも、なんかますます楽しみになってきた。

みんなそれぞれのパートナーと共に旅行だなんてそうそうできるもんじゃない。


「うん……そう。うん、よろしくね」


智兄の穏やかな笑顔に、松岡さんの返答を察する。


「楽しみだね」

「……そうだな」


そこへ、


「智さん、相葉くん大丈夫だって」

と、かずが入ってきて、俺らは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。

きょとんとするかずに、もう予約したよ、と笑ってやった。

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