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キラキラ

第1章 アーモンド


何か言いたげなニノから、目をそらせば、反対側からは、「心配」と、顔にかいてある潤の視線。

(もー………)

笑うしかない。

「ニノは、これであがり?」
「うん。今日はこのあと飲みに行くけど。翔さんたちも来る?」

ニノは、腕時計をはめながら、潤にも顔をむけた。

「いや……俺、このあと野暮用」
潤が、笑って辞退する。

「……俺もやめとくわ。サンキュ」

いつもなら、たまにはいいかと誘いにのるとこだけど、さすがに無理だ。

「そ?んじゃ……」

鞄をかついで、ニノが、また明日ねって出ていった。


「…………ふぅ」

深く息を吐いてうつむくと、案の定、潤が心配そうに歩み寄ってきた。

「翔くん?」

「……大丈夫だよ。ありがとな。黙っててくれて」
「変な様子になったら、即、リーダーにチクるつもりだったけどね」
「あぶね」

くすくす笑って、顔を見合わせる。
いたずらっぽい潤の笑顔に、癒される。

「まあー……十中八九、智くんにはばれてる気はするけどな」
「え、なんで?」
「そんな気がする。あの人、変なとこ鋭いから」

今日の番組の録りも、場をまとめあげていく瞬発力が不足してるのか、ん?って場面が何回かあった。
潤が、さりげなくフォローしてくれるなかで、智くんの動きも、いつもと違ってみえた。

あーあ……今日はマジ最低。

体調管理にここまでしくじるのも珍しかった。


「せっかく、早くあがったんだし、さっさと帰って寝るとするよ」

「送るよ」

「? お前、野暮用は?」

「……ないよ」

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