
キラキラ
第37章 寵愛一身
こういうときは、その競技の部に属しているやつの独壇場だ。
事実、たかだか体育の授業のくせに、最前線は、それぞれめちゃめちゃ激しくボールの取り合いをしてる。
おお……すげぇ……さすが三年と、思っていたら、ふと、サッカーをしてるプレイヤーのなかに、櫻井をみつけた。
あまり積極的にボールには近寄らず、適当に歩いてる感じが笑える。
その姿は、めんどくさいけど、授業だから渋々出てます感がでてる。
めんどくさいから、と、さぼるやつもいるなか、そういうとこは、まぁまぁ真面目なんだな、と思う。
ハーフパンツから見える、白くすらりとした足は、美しい。
運動なんてしてません、みたいな華奢な体は、おおよそヤンキーとは程遠いようにみえる。
櫻井がいるということは……大野もどこかにいるだろう……
そう思って探していたら、ゴールのネットの裏であぐらをかいてるのを見つけた。
一見して完全なただの観客になってる。
大野は、面倒くさいからやらないタイプなのだろうな。
興味なさそうに耳垢をほじってる。
らしいっちゃらしくて、思わず、ぷっと吹き出しそうになり、咳払いして誤魔化した。
