テキストサイズ

キラキラ

第8章 バースト

だが、正直、感情が高ぶるたびに、ほいほい色んな場所に移動してては、たまらなかった。

あれ?おかしいな、ですんでるうちはいいけれど、あいつヤバイぞって、噂をたてられでもしたらたまらない。

どうにかコントロールする術はないものか。

結局、感情をおさえこみ、むやみに爆発させないことで、しのぐしかなかった。
怒りたい場面で怒れないのは、結構なストレスだ。

潤はストイックだね。冷静だね。なに考えてるか分からないよ…反応は様々。

結果、あまり人に関わらず、喜怒哀楽を表にださない、よくわからない人、というレッテルを貼られ。

…………俺は高校生になった。



****** ***** ******


「なあ、昨日テレビでやってた映画みた?」

雅紀が、屈託なく話しかけてくる。

なんとなく人付き合いが面倒になってた俺は、入学後も一人でいることが多かった。

もともと群れるタイプではないし、感情をセーブするには、一人でいる方が楽だったから。

でも、そんな俺に唯一絡んできたのが、こいつ。


「…………あ、忘れてた」

「あーっ? もうっ。すっげーいいから見ろっつったじゃん!」

「知らねえよ(笑)」

笑いながら、頬杖をつく。


ただ、無機的に通っていただけの俺のスクールライフは、雅紀…相葉雅紀によって、確かに色づいたものになった。

無愛想な俺に、へこたれず何度も話しかけてきた雅紀。
無視を決め込んでた俺も、何もないところでつまずいた雅紀に、「ダッセ」って思わず声をたてて笑ってしまい。

雅紀は、ぱっと表情を明るくして、「笑った!」って、嬉しそうに言ったのだった。

その顔に、俺もついに折れた。


雅紀は、サラサラの髪をゆらして、何やら力説してる。
彼のリスペクトしている俳優がでている映画だったらしいが、あいにく興味はないから、思い出しもしなかった。

「潤はさあ、もっと笑った方がいいよ?」

ふっと、雅紀の声が耳に届いた。

「…………またかよ」

苦笑いして、腕組みしてた腕を首の後ろにもっていく。

「だって、おまえ、笑うとメチャメチャイケテメルぜ?」

「…………噛むなよ、そこは(笑)」

たまらずに吹き出した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ