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キラキラ

第37章 寵愛一身


はぁ……はぁ……


全力で100メートル走ったみたい。

必死に呼吸していると、抱えあげていた俺の足を静かにおろした松本が、息を弾ませて覆い被さってきた。


「……はぁ……カズ……」

「……は……い」


ぺたぺたしてる手で松本の体は触れない。
俺は両手をあげて、松本の首に腕をまわした。
松本は、俺の額にキスをおとし、囁いた。


「……ありがとう……」

「…………え……」

「……俺と繋がってくれて」


そんなこと……


俺は、いまだに体のなかにある松本の存在を意識しながら、ぎゅうっと彼にしがみついた。


「俺の方こそ……です」

「…………」

「あなたが……好き」

「……俺も。カズが好き」


言って、おちてきたキスを受け止める。
甘ったるく、何度も好きと繰り返して、キスをして。


「……なんか……バカップルみたいですね」


ふふっと笑ったら、


「いーじゃん。バカで……」


と、今夜一番の甘いキスがおちてきた。

俺は、目を閉じてそれを受け止めながら、今まで感じたことのない、幸せをかみしめていた。

人を好きになると、こんなに幸せな気持ちになるんだな、と、初めてわかった。

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