
キラキラ
第37章 寵愛一身
「あれ?……言わなかったか?」
「何をですか?」
「……あいつの職業、モデルなんだ」
「え?!」
「そこそこ売れてるみたいだぜ?」
ほら、と言って、その雑誌の巻頭特集をパラパラ見せられる。
そこには、様々な表情をした光一さんがいた。
微笑んだり、挑む目をしたりして、いろいろな服を着こなしている彼は、松本家で過ごした人と同一人物かと疑いたくなる。
全くの別人のように、輝いてる。
「……だから、あいつは、比較的休みのコントロールがきく。ぎゅっと仕事を詰め込んで、数週間の休みをもぎとって……俺のとこに来てくれてるんだ」
松本はパラパラと雑誌をめくり、その特集のラストに記された名前を指さした。
見れば、
『撮影 tsuyoshi.D』
…………?
きょとんとして松本を見上げると、松本はニヤリと笑って雑誌を閉じた。
「あいつの恋人」
「…………え」
「カメラマンらしいぜ。俺は会ったことないけど」
へぇ…………
もう一度表紙の光一さんを見た。
……恋人に撮ってもらったんだ。
「……だから、こんなに綺麗なんでしょうね」
ぽつんと呟くと、松本は、
「さぁな」
と、言って踵を返した。
