テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身


松本がレジを済ませてるのを、出口近くをうろうろしながら待ってると、目の端に女子高生の集団を捉えた。

俺と松本を見比べながら、なにやらヒソヒソしてる。


……コクるつもりかな。


俺は、瞬時に嫌な気持ちになった。


心が狭いと言えばそれまでだけど……松本は俺の恋人だもん。
手を出されたくないし。
正直話しかけてほしくない。


…………。


俺は唇をかんだ。


でも恋心は、悪意で始まるものではないのも事実だ。

櫻井を好きな上田。
俺を好きな准一。

報われないと知ってても、知らなくても。
その相手を好きになってしまう心自体を、誰も責めることなんてできやしない。


……せめて、潤くんにコクる現場を見ないようにするしかないか。


俺にできる防衛策はそれくらいだ。


見ない。
聞かない。


……それに限る。

俺は、トイレにでも行っておこうと、その場を離れることにした。
松本には、メッセージでも打てばいい。


そう思って、出口にむかうと、


「あのっ……」


…………最悪


あろうことか、その女子高生に呼び止められた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ