テキストサイズ

キラキラ

第38章 バースト11


洗濯かごを脱衣室にもっていくと、ちょうど起きてきた智兄と、鉢合わせする。


「おはよ、智兄」

「……おう……おはよ」


くちゃくちゃの髪の毛で、寝ぼけ眼で歩いている智兄は、ふらふらキッチンに、向かっていった。

おいかけていって、マグカップを手にしようとしている智兄にきいてやる。


「水?」

「いや……炭酸水」

「……はい」


冷蔵庫をあけ、マグカップに注いでやると、智兄はおいしそうにゴクゴク飲んだ。


「……昨日遅かったの?」

「……1時頃かな」

「泊まってくるのかと思ってた」

「昌宏さん今日は出勤らしいから」

「ふーん……」

「……なんだよ」

「ううん。仲良くていいね」

「……どうも」


にんまり笑う俺に、智兄はばつの悪そうな顔になり、けぷっと小さくゲップをした。

長兄としてしっかりした立場を強いられがちだけど、昌宏さんの前だけ、全てをさらけ出してる智兄。

そんな相手がいることを、俺は心強く思う。
智兄にだって寄りかかれる相手は必要だもの。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ