
キラキラ
第38章 バースト11
着替えをすませ、自室からでてくると、ソファーに寝そべり雑誌をよんでいた智兄が顔をあげた。
俺の姿をみて、察したようにふふっと微笑む。
「……潤か?」
「うん」
俺は、返事をしながら、食卓に二人ぶんの皿を用意する。
ほっといたら、この人たちは何も食べないから。
「フライパンに焼き飯つくってあるからさ、お昼に温めて、かずと食べてくれる?」
「りょーかい……夕飯も食ってくるのか?」
「……そんなことしたら、受験生にカップラーメン食わすことになるから、ちゃんと帰ってくるよ」
「失敬だな。俺だってな……」
「はいはい。気持ちだけもらっとくね」
口を尖らせた智兄を、笑ってあしらい、俺は腕時計をはめながら、急ぎ足でキッチンをでた。
「行ってきます」
リビングから、おう、という智兄の返事を聞いて、外にでる。
うまくタイミングのあう電車があればいいな、と考えながら、マンションのエントランスをぬけ。
ふと、何かがひっかかった。
…………?
まわりに目を走らせる。
ホールをぬけたところには、生い茂る木々や花で美しい庭がつくられている。
……なんだ?
俺たちの住むマンションは、大通りから中にはいった、比較的静かな場所に建っていて、人通りはそれほど多くない。
抜け道でもないから車も少ない。
そんななか、珍しく路駐してる車をみつけた。
黒のステーションワゴン。
目立つ場所をさけるように駐車しているその車が……なぜだか気になった。
