
キラキラ
第38章 バースト11
「うそだぁ……」
「……うるせぇな、ほら、お前の番」
笑いをこらえてる潤に、仏頂面でかえした。
倒すことができず、ほぼ残ったピンが回収され、新しいピンが自動的に設置されるのを苦々しくながめて、俺はベンチに座った。
ボーリングなんて何年ぶりだろう。
忘れていたが……俺はそれほど運動が得意な方ではない。
走るのは、まぁ早かったけど、それでも智兄に比べれば、全然だったし。
球技も、苦手だったから、なるべく避けて避けて過ごしてきた。
……娯楽のカテゴリーのボーリングですら、俺にとっちゃ、立派な球技。
潤の前でカッコつけるどころか、さっきから壊滅的なスコアを連発してる。
カシャーン
気持ちのいい音がして、ピンがすべて倒れたのが見てとれた。
レーンの上部に設置されてるモニターは、Strike!!の文字がでかでかとうつしだされて。
潤が、満面の笑みで俺を振り返ったから、俺もグータッチで待ち構えてやる。
……たいしたもんだ。
「うまいな、お前」
「だって、学校さぼって遊びに行ったりしてたもん」
「サボる……」
そういや、こいつは学校では素行がよくない部類だったか。
あまりに俺の前では可愛らしいから忘れてしまう。
妙に納得しながら、立ち上がる。
「頑張れー翔~」
「うるせー」
潤の声援を背に、苦笑いして重たい球を持ち上げた。
もうスコア的には十分カッコ悪いから、今さらだが、せめてGがつかないように、とだけ願い、俺はへっぴり腰で、ボールを投げた。
