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キラキラ

第8章 バースト

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放課後。


なんだか昔の、青春ドラマを思わせるような、時代錯誤なシチュエーションだ。

体育倉庫裏に呼び出しなんて、ありふれたことすんなよな。

ブツブツいいながら、

「ほら、行くぞ」

と、おどおどしている雅紀を促し、俺たちは約束の場所に向かった。

くだらない理由だったら、ダッシュで離脱だ。




人気のない薄暗い場所。


いかにも、よろしくないやつらがたまっていそうな、学校という開かれた場所にある、死角になる空間。

そこには、人相があまりよくなくて、不穏な空気を纏った上級生が五、六人待ち構えてた。

「わー…………いかにもって感じ………?」

小声で雅紀に囁くが、雅紀は、テンパってしまってて、返事もしない。

………大丈夫かよ。

苦笑いしてると、そいつらの一人が立ち上がって、俺を顎でさした。

「おい、おまえ誰だ」

偉そうに舌をまいていうから、こっちもカチンとして、言い返す。

「………付き添い」

「あ? 俺ら相葉に用があんだけど」

「あんたら、六人いんじゃん。六対一じゃ、不公平だろ」
 
「関係ねえだろ。おまえ帰れや」

「は? やだね」

血気盛んに絡んでくる。

めんどくさいやつだな、こいつ。

イラっとして、睨みあってると、その集団の中でもひときわ偉そうにしてるやつが、口を開いた。

「相葉に聞きてぇことがあるだけだから、てめえは静かに待ってろよ?」

下からねめつけるように睨まれた。
蛇みたいな目をしてる。

感じが悪いったらない。

舌打ちして

「はいはい」

と、返事をする。

その間、雅紀は、その場に直立不動だ。
つついたら、そのままの格好でたおれるんじゃね?ってくらい。
ポンポンと背中をたたき、落ち着けって囁いてやる。

「相葉………お前、ユカを知ってるな?」

静かに問いかけられる。
雅紀の表情が動く。

「………ユカ?」

「この間コクられなかったか」

雅紀は、しばらく考えてたがその言葉に、ぱっと顔をあげた。

「………ああ。確か」

「俺のオンナなんだよ」

怒気をはらんだ声音。

「手だしてんじゃねえぞ?」

「え?だって、フッたし」

雅紀が、きょとんと答える。

「そのまえに、てめえが無駄に愛想ふりまいてるから、勘違いするんだろうがよっ」






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