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キラキラ

第8章 バースト

やつが、持ってたペットボトルが飛んできた。

中身が入ったままだったから、地面におちたそれからは、派手に中身が飛び散った。

雅紀が、びくっと体を震わせる。

「ヘラヘラしてんじゃねぇぞ?おい」


雅紀の隣で、黙って話を聞いてた俺は、内心あきれかえっていた。

………なんじゃ、そりゃ。

完全に八つ当たりじゃねぇかよ。

ようは、自分のカノジョに二股かけられそうになったってことだろ?
その相手が雅紀だったってことだろ?

………はっ


「………くっだらねー………」

心の声が、思わず口に出た。

「おまえ、いちいちうるせえんだよ! いわすぞ、こら!!」

周りにいるその他大勢がいっせいに怒鳴ってきた。

だけど、あいにく、その程度の威嚇じゃ、怖くもなんとも思わない。

俺は、ひたすら身を小さくしてる雅紀の腕をとった。

「おい、帰るぞ。馬鹿馬鹿しい」

「え」

なに?と、訳がわかってない雅紀の腕を引っ張る。

「ほら」

長居は無用、とばかりに雅紀の手を再度引いて身を翻しかけたら、雅紀が、突如地面に這いつくばった。 

一瞬何が起こったか分からなかった。

上級生の一人が雅紀に飛び蹴りしてきたのだ。

「逃げんな、こら」

そのまま、雅紀の背中を再度蹴った。


「なにしてんだ、てめぇっ」 

カッとして、その上級生の胸ぐらをつかみあげる。

とたん後ろから、すごい衝撃をくらう。

別のやつに封がきられてないペットボトルで思いっきり後頭部を殴られた。
思わず手を離して、振り返る。

「ってーな………こら」

「勝手なことすんじゃねぇよ、一年。まだ話終わってねぇし」

「うるせえな。アホらしすぎてつきあってらんねぇよ」

「ああ?!」

吠えてるやつを無視して、俺は、大丈夫か?と、雅紀を助けおこしながら耳打ちした。

「退散だ。合図したら走れ」

「潤は!?」

「大丈夫。ちゃんと逃げる」

なに、こそこそしてんだよっと蹴りが飛んできたから、ギリギリでよけて、相手の腹めがけて思いっきり右手をぶちこんだ。

「走れ!」

怒鳴ったら、弾かれたように雅紀が、走り出した。
だが、六対二は、思ったより甘くなく、瞬く間につかまるのが遠目にみえた。
同時に、自分にもバットを持って、近づいてくるやつを確認する。

舌打ちする。

あーもう………めんどくせえっ!




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