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キラキラ

第8章 バースト

「なに、こいつ。急にへたってんじゃん」

倒れたままの俺に気がついた一人が、面白そうに声をあげた。

………うるせえな。

ありがたくないことに、相葉は、どこだ、いねぇぞ、マジかよ、の騒ぎが一段落してしまうと、やつらの興味の矛先が一斉にこちらをむいたのだ。

「おら、立てよ」

「………ぐっ…………」

横っ腹を蹴られて、息がつまった

いってーな、おい………

顔をしかめて、うめき声をあげるも、身体に力が入らないから、文字通りされるがままだ。


……マジ身体動かねえ………


うつぶせた体に、再度蹴りが飛んでくる。


マズイな………


あまりに抵抗しない俺に、やつらは不思議そうな声をあげた。

「え?誰かもうこいつボコったっけ?」

「いいや?」

そこへ、一番偉そうにしてる蛇の目が歩み寄ってきて、俺の髪をつかんで、乱暴に顔を持ち上げてきた。

………くそっ……


ギリッと唇をかみ、睨み据える。
至近距離に、気持ち悪い顔がある。

蛇目が薄笑いを浮かべた。

「相葉は、ひでえやつだな。人のカノジョに手をだすわ、オトモダチ置いて逃げるわ。…………なあ?」

「…………雅紀は、そんなやつじゃねぇよ」

言って、唾をペッと奴の顔に吐いてやった。

「離せよ。気色悪い……」

俺の言葉に、蛇目はその気持ち悪い目を、静かに細めたかと思ったら、黙ったまま、もう片方の手で力一杯俺の頬を打った。

返しでもう一発。

さらにもう一発。

………口のなかに鉄の味が広がる。

とどめに唐突に手を離されて、地面にしたたかに頭をうった。

………くっそ…………いてぇ……

「おまえら、こいつ二度と俺の前に現れないようにしとけ。ボコるなり、ヤるなり、好きにしろ」

野太い声の了解の返事をきいて、蛇目は、その場を離れた気配だ。

俺は、うつぶせたままの状態で。
これから、料理される立場におかれた。

暴力か、辱しめか。

なんだか恐怖というより、笑いがこみあげてきた。

何やってんだろうな、俺…………


「おい、どーする?こいつ」

「よく見たら綺麗な面してねぇ? ヤッちまおうぜ」

「えー、俺オンナじゃないと無理」


………好き勝手なこと言ってやがるな。

どーでもいいや。もう………

…………俺は、あきらめて、目を閉じた。











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