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キラキラ

第8章 バースト

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高そうなマンションの最上階のベランダに降り立つ。

フワフワとしてた身体に、再び重力がかかった。

「立てる?」

「…………ああ」

だいぶ感覚ももとにもどっていて、身体は重いが自力で立てた。


「………なんでベランダ?」

「そんなボロボロな姿で、正面玄関から入りたくないだろ?」

「………」

俺は、引きちぎられたシャツの前をぎゅっと握った。

「大丈夫。着替え貸すよ」

とそいつは言い、カラカラと、ベランダの扉をあけた。

なんか、タケコプターで帰ってきた、某ネコ型ロボットみたいだな、と思いながら、部屋に足を踏み入れる。

「じゅん~~~っ!!!」

「へっ???!」

泣きながら飛びついてきたのは、ここにいるはずのない男。

「ごめんな!俺が巻き込んどいてっ!一人で逃げてっ」

そんな趣旨の言葉を、涙と鼻水と嗚咽混じりにぐずぐず言って抱きついてくるから、思わず笑顔になった。

ヨシヨシと背中をさすってやる。

「雅紀………無事で良かった」

「ごめんな、潤……っ」

「……いいんだよ。俺は、大丈夫」

号泣する雅紀をたしなめながら、なぜ、雅紀が、ここに?という当たり前の疑問がわく。

顔をあげると、部屋には、優しい笑顔をしてこちらを見守るさっきの奴の他に、あと二人いた。

一人は、色の白い華奢な………オトコ?だろうか。白いシャツに、デニム姿で、ソファーに足を抱えて座ってる。涼しい目元が神経質そうな、俺と同世代な感じの男。

もう一人はカウンターキッチンのスツールに座りコーヒーを飲んでる柔らかな空気をまとう男。
優しいタレ目が、穏やかな印象だ。
腕まくりしたシャツとちょっとゆるめたネクタイ姿は、帰宅した社会人?

「感動の再会、だね」

タレ目がくすっと笑って言った。
声も優しい人だ。

「きみシャワー浴びといで。ひどい格好してる」

「え………でも」

「翔の着替えがあるから大丈夫。なあ?翔?」

さっき俺を助けにきてくれたやつ。

翔って言うんだ………。

タレ目の言葉に、奥の部屋から翔が考える仕草をしながら、服を持ってきた。

「うん。ちょっと丈が短いかもしんねぇけど。ジャージならいけそう」

はい、と着替えを持たされて、バスルームに向かい背中を押された。

………初対面のやつの家で風呂?!

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