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キラキラ

第8章 バースト

「…………いや、あの」

これは、本当に甘えていいものか、と、渡された着替えと、翔の顔を変わりばんこに見ていると、翔はクスクス笑った。

「あとで、おまえ…………潤、だっけ?潤の聞きたいことには全部答えてあげるから」

ね、と言い含められ、俺は、はい………と、脱衣所の扉に手をかけた。




「ふう………」

お湯の温度を熱めにあわせ、ザアザア流れるシャワーを頭からかぶり、排水口に流れてゆくお湯を、ぼうっと見つめる。

鏡にうつるアザだらけの身体に嫌になりつつ、しみる傷口に、顔をしかめつつ、それでもやつらに舐め回された身体を洗い流せたのはありがたかった。

あいつらを吹っ飛ばしたのは、翔のチカラ。


………無敵じゃん。あの能力。
 

俺の不安定なチカラとは大違いだ。

空まで飛んでたし。
ありえねーだろ。


「……………」

俺は、何年もひた隠しに隠し続けてた。

これってなんなのかあの人たちなら、教えてくれるかもしれないな。

髪の毛をかきあげざま、首をあげて、熱いお湯を顔から浴びた。

「いっ………てっ………」

傷口にしみて、思わずうめき声がでた。





シャワーからでて、こざっぱりしたジャージに着替えると、やっと落ち着いた。

俺の方が、翔よりちょっとだけ背が高いから、やっぱり丈はちょっぴり短めだ。


「ありがとうございました………」

と、声をかけながらリビングに入ると、

「潤、ちょっとおいで」

と、翔に手招きされる。

促されるままに、翔の前のソファーに座ると、翔はおもむろに消毒薬をひたした脱脂綿を、ぴたびたと俺の傷にくっつけて、手当てを始めた。

「……いいオトコが台無しじゃん?」

優しい口調とは裏腹に、口元の擦り傷や、額、手足、あらゆるところを遠慮なくグリグリ消毒され、俺は、声を飲み込むのに必死だった。

…………いてーなっ!もっと加減しろよっ


すると、後ろで黙ってそれをみてた華奢なやつが、アハハッッと笑った。

「翔さん、もっと、そっとしてあげなよ。」

「えー……?俺、むちゃくちゃ優しくしてっけど」

「変なとこ不器用だよね。………貸して?」

いや、もういいけど………。

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