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キラキラ

第38章 バースト11


「特殊でしょう?普通ではありませんよ」


薄ら笑いを浮かべて断言されるのが、無性にイラついた。


普通かそうでないか、なんて。


これまでの人生で、俺らがさんざん苦しめられてきた言葉を。

……今さらまたこいつから聞かされるのか。


「普通の人間は、手を触れないでものを動かすことはできないでしょう」


さも当然といわんばかりの上からの言葉に、俺は言い返す。


「……てめぇらこそ普通じゃない。普通の人間は、人をさらったりはしない」


すると、そいつは、心外だというように大きく手を振った。


「さらうだなんて。大野さんは自らついてきてくださったって言ってるじゃないですか」

「どの口が言うんだ。智兄を脅して連れてきといて……!」

「脅してません」

「動画ちらつかせた時点で、脅してんのと同じなんだよ……!」


……のらりくらりとかわすこいつに、徐々にヒートアップしていきそうになる。

だが、潤の手が俺をしっかりつかまえていて、その温かさに、ギリギリのところで、冷静さを保つことができた。

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