キラキラ
第38章 バースト11
「……悪かったな。心配かけて」
「……ほんとだよ。俺がハゲたら智兄のせいだから」
俺が、口を尖らすと、智兄は、くくっと肩をゆらして笑った。
俺は、智兄の温かい背中を、そっとさすりながら、
「…………俺と潤の動画みたんでしょ?」
気になってたことを聞く。
そもそも、俺の能力を動画に撮られてるせいで、智兄はあいつらの研究所についていったんだ。
智兄が行かなかったら、絶対に俺の方に矛先はきていたはずなんだ。
智兄は、首をならしながら、静かに問う。
「……ありゃ、いつのことだ……?」
「この間だよ……潤に危険なダーツが飛んできたから思わず。あのあと犯人探したんだけど分かんなくて」
「……そうか。二人とも怪我はなかったのか」
「うん」
「……なら、いい。俺がついていったことは気にすんな」
ふにゃ、と微笑み、智兄は、この監禁は自分が勝手にしたことだと結論付けようとするから、俺は首を振った。
「違うだろ。俺と潤を守ってくれたんだろ……」
「……ちげぇよ」
「違わない。……ごめん……ごめん智兄」
「違うって」
「辛い思いさせてごめん」
俺は智兄の背中をさする手をとめて、ひざまずいた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える