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キラキラ

第38章 バースト11


目の前が涙でぼやけて見えなくなる。
智兄の深い優しさに、押さえこんでた感情があふれでる。


「……ごめん……」


人前で泣くことなんて、ここ何年もなかった。
俺のキャラではないと思っていたし。

なのに、次から次へと溢れる涙に自分で驚く。

手のひらで口をおさえて、しゃくりあげる声をたてまいとする俺の頭を、智兄が優しく撫でた。


「……泣くな」

「……だっ……て」


智兄がいなくなったのは、ほんの数日。
なのに、こんなにも不安で心乱れたのは。

……智兄がいつでも俺らの後ろで凛と立っていてくれているから。
大黒柱でいてくれてるからだ。


「怖かった……智兄がこのまま帰ってこなかったら、と思う……と」

「……ふ……」


頭に感じる智兄の手のひらは、とても温かくて、涙がとまらなかった。


「子供みてぇだな」

「……まだ子供……だよ」

「はは……そっか」


今は背は俺の方が高いし、手のひらだって、俺の方がでかい。
なのに、智兄は何もかもが大きく感じる。

それは懐の深さだったり、度量であったり。

智兄はどこまでも、越えられない大きな大きな存在だ。

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