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キラキラ

第38章 バースト11


「おまえと、かずがいる限り……俺はいなくなんねぇよ」

「……うん」

「大丈夫だ」

「……うん」



ずずっと鼻をすすって頷くと、智兄は、しばらく黙ったあと、ぷくくっと笑った。




「泣き止まねぇなら、抱き締めてやろうか?」

「…………」


無言でぶんぶん首を振ると、智兄は声をたてて笑った。

そうして、俺の頭をまたゆっくり撫でてくれる。


昔に戻ったみたいな感覚で不思議だった。

年が離れてる智兄と同じことをしようとしても、当然俺にはできなくて、悔し泣きを我慢してるとき。

チカラのコントロールに苦しんで、人とつきあうことに疲れはてていたとき。

自分の存在自体が、不安定に思えて、普通がわからなくなったとき。


智兄は決まって、隣に寄り添い、頭を優しく撫でてくれた。


そのまんまで大丈夫だから、と。
俺は俺のままで、普通に生きろ、と。
ゆっくりと言い聞かせてくれた。


それらの言葉にどんなに助けられてきたことだろう。

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