
キラキラ
第38章 バースト11
でも。
……俺は、実はこの間、北川の出版社に、あの団体の記事を書いてほしいと匿名で投書した。
だって、一歩間違えたら、大事な兄に人体実験をされるというとこだった。
それに、大事な恋人にダーツの先が当たってたかもしれないんだ。
悪質だ。
これで怒らない方がおかしい。
真実を少しだけ混ぜたうえで、とにかく無茶苦茶な団体だということを、訴えた。
ただの冷やかしだと思われないように、理路整然と文章を書き綴り、メールで送信した。
とるに足らないものだ、と、あっさり葬られることは想定内だが……それでも、北川がそれに目をとめてくれることを願う。
「翔」
「ん?」
智兄は、カウンターにおいてた飲みかけのコーヒーに口をつけて、微笑んだ。
「……普通だからな、俺たちは」
「……うん」
「潤にも。よく言っといてくれ」
「うん……あいつは大丈夫だと……思う」
「……そうか」
智兄は、ロールパンに手を伸ばしながら、微笑む。
