テキストサイズ

キラキラ

第39章 バースト12


そのとき、ジャケットのポケットにいれていたスマホが震えたのに気づく。

潤かな、と何気なく手にとり、画面を確認する。
そこにうかびあがった名前に、


「うわ…」


思わず、げんなりして呟いたら、智兄が横から俺のスマホをみて、苦笑した。


「……もう、返事打たないでおいたら」

「……できればそうしたいけど。そういうわけにもいかないじゃん…」



『楽しかったです。ありがとうございました』


そんな悪意のかけらもない一言を無視するのも、申し訳ない気がする。
俺は、少し考えて、


『こちらこそ。うちの母がうるさくてすみませんでした』


と、当たり障りなく返した。
黙っていた智兄が、俺が言うのもなんだけど…と、前置きして、


「………潤、泣かせんなよ」


と、釘をさしてきた。


「わかってる」


こんな見合いごっこ、さっさと断りの意思表示をして、終わらせる。
とりあえず、母さんが出国してから動かないとな。

性格の不一致だとか、理由は後付けでどうにでもなる。
自分の周りに女の影なんて、真っ平だ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ