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キラキラ

第8章 バースト

侵入者…………!?

学校から帰宅して、リビングに足を踏み入れた瞬間の出来事で、一瞬、翔も殺気だったそうだ。

でも、あまりに人のよさそうな男が、自分が落っこちたせいで、痛がってるかずに、ごめんね、ごめんねって、あやまりながら体をさするのをみて、これは違う、と、思ったらしい。

雅紀は、そのあとすぐ、潤は?!って騒ぎだしたらしく。

「すごいだろ? 不思議なチカラで危険から脱出できた経緯を理解するより、おまえが、いない事実の方が重要だったんだよ、雅紀は」

翔の言葉に、雅紀は、「なんか、必死だったし、そもそも潤を巻き込んだのは俺だから」と、恥ずかしそうに首をふった。

そんなことがあっただなんて。

俺は、なんだか、心が温かくなった。
他人にこれだけ、自分のことを一生懸命思ってもらったのは初めてだ。

無愛想な俺は、他人と一線をひいたようなつきあいしかしたことがなく。

時々話しかけてくるやつは、生意気だ、と喧嘩をふっかけてくるような輩だったし…………。

うん。…………嬉しい。


翔がつづける。

「で、智兄が、まだ帰宅途中だったから、かずに伝えてもらって、智兄が視て、そんで」

「ストップ。…………その説明じゃ、わからないぞ」

大野さんが、笑って遮った。
そして、んー…と、考えた顔。

「…………能力の説明しようかな?」

にこりとして、大野さんが、俺を見て、かずに目をやった。

「きみ…潤が、いわゆる、瞬間移動を扱えるのと同じように、俺達も、みんなそれぞれ違う能力を持ってる。…………例えば、かずは、テレパス」

テレパス?

「声に出さなくても、会話ができるんだ。百聞は一見にしかずだな。ちょっと、かず、やってみて」

かずは、頷いてちらりと俺を見る。

『…………あんまり俺たち以外の人には、チカラをみせないほうがいいよ。忠告しとく』

かずの声が直接、アタマに響いてきた。
声に出すより、クリアに聞こえる。
目を丸くして、かずを見ると、かずは、ニヤリと笑んだ。


「これは、距離を問わないそうだ。だからかずは、その気になったら、誰とでもいつでもどこでもコンタクトがとれるんだ」

「へぇ………すげ…………」

「あと、かずは心が読める」

「…………心?」

「…………隠し事はできないよ?」

大野さんが言うと、かずは、嫌な顔をした。









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