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キラキラ

第39章 バースト12


高速を降りて都内に入る。

ナビゲーションによると、俺の住んでる区と、比較的近い場所にカホは住んでいるようだった。

それもいわゆる富豪がたくさんお住まいの地域。


………お嬢様なんだな


若干、世間知らずのような天然ぽいところとか、高級そうな持ち物からも分かる。


まぁ、関係ねぇけど。


フる前提だから、興味もない。


俺は、地図に目をやりながら、運転に集中した。

その間も、カホは楽しそうに、俺にいろいろ質問してくる。
それらに、適当に答えていたのだが、あまりに純粋な目をしてるものだから……少し心苦しくなってきた。


帰りぎわにはっきり言おう。
俺にはつきあってる人がいる、と。黙っててすみません、と。


そう心に決めていたら、カホが満面の笑みで、俺をのぞきこんだ。


「ねぇ、翔くん。お腹すきませんか?」

「え?」

「この近くに、美味しいパスタ屋があるんです。もう帰るだけっておっしゃいましたよね?少し時間もらえません?」

「……えと」

「ほら、あそこの白いビルです。あの1階で、隣が駐車場になってます。ね、いいでしょう」


無邪気に言われて、


「……はぁ、じゃ、少しだけ」


俺は、ここで断るのも面倒だと思って、ウインカーを出した。

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