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キラキラ

第39章 バースト12


カフェのようなお洒落な佇まいのそこは、パスタとパンが美味しいと、若い子の間で評判の店のようだった。


「ランチタイムを少し過ぎてるから、狙い目だと思って。良かったです。すぐ座れて」


カホは、うふっと微笑みメニューに目を落とす。
俺もメニューを開きながら、やっぱり断れば良かった、と後悔していた。

どうも、調子が狂う。

いつもの俺ならば、送ることも断り、こんな飯なんかもシャットアウトする。


それができないのは………


父さんの横顔と母さんの笑顔のせい。

なまじ、父さんの取引先という肩書きが入ってるから面倒なんだよな。


俺は、心でため息をついた。


人でなしになるのは簡単だけど、その後を考えると、冷徹な人物を演じきれない。
父さんに影響あったらヤバいかなとか思ってしまう。

結果、一番まずい中途半端なオトコになってる気がしてならない。

鬱鬱としている俺には気づきもせず、カホは楽しそうに、口を開いた。


「翔くん、決まりましたか?」

「あ、はい……じゃあBセットで」

「私も。あ、すみませーん」


カホはよく通る声で、近くを通った店員を呼んだ。

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