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キラキラ

第39章 バースト12


「お決まりです……か」


その声に、ドキンと心臓が跳ねた。
俺は、はっと顔をあげる。


「じゅ………!」


そこには、ギャルソンの格好をした潤が、目を丸くして立っていて。
俺は、一瞬、息がとまったと思う。

言い訳をしようか、知らんぷりをしようか、いや、待て、まずは……

と、自分の対応を頭で高速ではじきだそうとするも、衝撃が強すぎて、よくまわらない。

固まってる俺から、潤は、すっと目をそらし、カホにむかってハンディ端末を向け、どうぞ、と、オーダーを促した。


「えっと、Bコース2つください」


カホが涼やかな声で、オーダーするのを俺は遠くできいていた。


……なんでこんなとこに潤が




翔。俺ね、バイト始めたよ

ふと、俺は、数日前の潤の言葉を思い出していた。
パスタ屋さんで、おいしいまかないをいただいた、と楽しそうに話してくれていた。
太るぞ、とからかったのを覚えてる。


………どの店でバイトを始めたかは、聞いたような。聞いてないような。



「私はアイスティーお願いします。翔くんは?」

「………コーヒーで」

「………ホットですね。かしこまりました」



潤が、一礼して下がっていくのをぼんやりと見送った。



バイト先。ここだったのか。

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