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キラキラ

第39章 バースト12



偉いもので、潤は平静を保ちながら仕事をしていた。

だが、こちらには一切近づいてこなかったから、弁解のしようもなくて。

気分が落ちてると、何を食べても美味くない。
俺は、ゴムのようだと思いながらカルボナーラを食った。
カホは、美味しい美味しい、と、元気にパンをおかわりしていたようだが、俺は食う気にもなれず、ひたすらコーヒーを飲んでいた。

美味しいね、翔くん、と微笑むカホに、そうですね、と頷く。
だが意識だけは、フロアの中を動く潤に集中していた。
時々、なんともいえない顔でこちらによこす潤の視線を感じる。


泣きそうな、不安そうな瞳。


分かってる。
こんな顔、一番させちゃいけない。
女絡みなんて、一番最悪だ。


ヤバい……まずい。


こういうときは、かずのチカラをうらやましく感じる。
すぐに、今の状況を説明したいのに。



「翔くん?コーヒーおかわりもらいます?」

「いや、いいです」

「ほんとに?」


とにかく、ここから出たい。
一刻も早く、出なければ。

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