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キラキラ

第8章 バースト

リビングに戻ると、大分覚醒した顔で、クルミパンをモグモグ食べてる智兄が、どう?という顔でこちらを見た。

俺は、苦笑して肩をすくめる。

「ダウン」

「…………ん…………そっか」

「…………まあ、昨日はもともと体調悪かったみたいだし。チカラの負担が、大きかったのかもなあ」

能力を使ったときの、体力と精神力の消費は激しい。

これは、全員が共通してる。

だから、みんな能力を行使することは、普段あまりない。

必要以上に疲れてしまうからだ。

つまり、体調がすぐれないときは、頑丈な俺たちでもきついってわけだ。

そもそもの体力が、あまりないかずには、昨日は、調子が悪いなかでの出来事だったから、ちょっとしんどかったに違いなかった。

「熱が高そうだった」

冷却シートやら、ペットボトルの水やらを用意しながら、かずの昼飯はどうしようかなあと考える。

すると、そんな俺の考えが分かったかのように、智兄が呟いた。

「今日、外回り中、なんか買ってこっち寄るよ」

「できる?」

「多分大丈夫」

コーヒーを飲みほして、智兄が立ち上がった。

「翔はさ、あの子…………潤って子、ちょっと気にかけてやってくれないか」

「潤を?」

「うん。能力がまだ不安定だから、すごい不安がってる。集中するコツを覚えたら、少し楽になれるはずだから」

置いてきぼりをくらった子供のような、潤の不安な瞳を思い出す。

眉も、瞳も、意志が強そうなはっきりした顔立ちをしていた。
背も高く、すらりとしていた。
自信に満ちあふれてる姿は、きっと、もっと魅力的だろう。

「うん。分かった」

「…………よし。じゃ、俺もかずの様子見てこよう」

俺から、かずグッズを受け取り、冷却シートを手に、智兄が言う。

「これ、おでこに貼りつけるやつ?」

「そうそう。しんどそうだったら、脇の下にも貼ってやって」

極甘のカフェオレをいれて、智兄が座ってた場所に、座る。

智兄が、変な顔をして俺を見る。

「まさかと思うけど、それ全部食うの?」

お皿にてんこ盛りの、クロワッサンやら、クリームパンやらを見て、智兄が気分悪そうな顔をする。

「食うよ。昨日から、何故か腹が減ってしょうがないんだ」

にやっと笑って、俺は大きなメロンパンにかぶりついた。

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