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キラキラ

第8章 バースト

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Jun


改めて、エントランスから入ると、翔たちの家は、目をみはるような綺麗な高級マンションだった。

確かに、昨日のようなボロボロの格好でいたら、何事かと思われるだろう。

翔の機転に感謝しながら、エレベーターで見覚えのある最上階に降り立った。


「ただいま…」

鍵をあけ、ちょっと声を潜めながら家のなかに入る翔に怪訝な目をむけると、翔は、困ったように、笑った。

「かずが、今朝から寝込んでるんだ」

え?!

「熱、下がってたら、いいんだけどなあ」

「俺…………お邪魔して大丈夫ですか」

遠慮する俺に、翔は、大丈夫だろ。騒ぐわけじゃあるまいし、と、中に入るように促した。

「先、リビング行ってて」

言われて、ゆっくり歩を進めてる間に、翔は、右手奥の部屋の扉を軽くノックした。

「…………かず。入るぞ?」

翔が、部屋に入っていく肩ごしに、少しだけ中がみえた。

カーテンがひかれたままなのか、うすぐらいままで、部屋の一番奥にベッドがあるような感じだ。

ボソボソとなにやら言葉をかわす声がきこえ、ほどなく、柔らかい笑みの翔が姿をあらわした。

「大分よさそう」

「…………良かったですね」

「潤が、来てるっつったら、ゆっくりしていってだってさ」

ふふっと笑って、二人でリビングに入る。


「適当にそのへん座って。 コーラでいいか?」

「あ…………おかまいなく」

翔が、慣れた手つきで、棚の扉から、グラスを2つとりだし、ペットボトルのコーラを注いだ。

「潤はさ…………どれくらいから、自分がなんか不思議なチカラ使えるぞって気がついたんだ?」

「小学生だったかな…………」

いただきます、とグラスに口をつけながら、記憶をたどる。

「なんか、悔しい思いをして、コノヤローってキレたら跳んだのが最初」

「ははっ(笑) なにそれ」

「怒ったり、泣いたり、気持ちが大きく動くときに、跳ぶみたいっていうことに気がついてからは、あんまり跳ばなくなったけど」

「…………感情をコントロールしたってこと?」

「そんないいもんじゃないです。本気で怒んなくなったってだけ。昨日みたいなことは、久しぶりなんです」

翔は、悲しそうな顔をした。

「…………それは、しんどかったね」

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