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キラキラ

第39章 バースト12


カホという女性の出現で、ちょっと怯んだけど、そもそも翔に愛されてる自信はある。

単に、俺が邪推しないように、カホとのやりとりを黙っていた翔と、見合いという場を設けた身内には受け入れてもらえないだろうと、勝手に卑屈になってた俺………双方とも悪かっただけのことだ。

絡まった思いが解ければ、あっけないことだった。


「できたぞ」


ホカホカと湯気のたつマグカップを3つと、小さなプチケーキをのせたトレイを片手に、翔がソファに座った。


「弱いな、お前」


かずにこてんぱんに負けてる俺をみて、翔が笑う。
キャラクターが乗ったカートで、順位を競うゲームだが、かずはとっくにゴールしてるのに、俺はまだもう一周残ってる。


俺は口を尖らせながら、コントローラーを動かした。


「そんなの、かずに勝てるわけないし」

「次、俺もやらせろ」

「ええ!翔さん、まざるなら、俺、本気出さなきゃ」


かずが楽しそうに声をあげた。


「どーゆー意味?かず本気じゃなかったの?」

「当たり前じゃん。潤くんとはめちゃくちゃ手抜いてる。でも、翔さん意外と上手だもん」

「意外とはなんだ」


わぁわぁ言いながら、カートをゴールさせた。



かずの笑顔を見て、心が温かくなった。
翔の笑顔を見て…………心がふわりと優しくなった。


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