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キラキラ

第39章 バースト12


「私の方が翔くんに相応しいのに………おかしくない?」


カホは、怒鳴るでもなく、号泣するでもなく、一筋の涙だけ流して淡々と訴えてきた。


「…………」


でも、俺にはコメントの仕様がない。
だって、俺は翔の恋人なんだから。
相応しいも相応しくないも、知ったことではないのだから。


それで、翔のそばから離れるなんてこともありえない。
……いや、少し前の俺なら、翔のためにとか、言ってたかもしれないけど、今は違った。
翔の言葉を丸ごと信じて、彼の隣で生きていく選択をした以上、他人の言葉で揺らぐ気持ちは、俺にはなかった。


「……………」


何を言っても無駄だよな。

そのまま、黙って踵をかえそうと思っていたら、


「………言いたいことはそれだけか」


不意に隣から、静かな声がした。

驚いて振り仰げば、いつの間に来たのか、そこには毅然とした顔で翔が立っている。
翔は、黙って俺の肩を、ぐっと引き寄せた。


「…………最初の俺たちの対応がまずかったのは、認める。悪かった。でも前にも話した通り俺の恋人はこいつであり、こいつ以外にありえない」

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